●『iCD & ITSS+ を活用しない手はない! ~その1』

       スキル標準ユーザー協会 認定コンサルタント 松本 道典

スキル標準ユーザー協会主催「iCD & ITSS+ 紹介セミナー」の講師をさせていただいています松本です。
当セミナーでは概要、導入手順、活用方法などを説明していますが、最後に導入検討を担っている参加者の方々に、
個人的な見解を(熱く)伝えています。その5つの観点を、全2回のコラム連載でご紹介します。

1.組織規模、業界、職種には無関係

セミナーが終わった後に、よく下記のような質問をいただきます。
例えば、「社員の数も少ないのですが、ここまでの仕組みを組み込まなくても、一人一人のことを十分理解しているつもりです。
どう考えたら良いですか?」という内容です。

その時、下記のような確認をしています。
「理解されているのは、あなたお一人だけではないですか?」
「仮にお一人でないとしても、他の方の理解レベルは同じですか?」
「その理解されている内容は、抽象的なレベルではないですか?」
「社員に期待している役割は重複なく、必要な仕事、不要な仕事、将来に必要な仕事が整理されていますか?」
「社員が、将来のキャリアパスについて意見されることはありますか?」等々

大きな組織だけでなく、むしろ少人数、小さな組織こそ組織運営上に多くのリスクがあり、
個人への負担も大きく、その実態を正確に把握するべきであり、
加えて、組織と人の実態データは、個人ベースではなく組織として共有するべきだと考えます。

IT部門においては、タスクとスキルの標準辞書が提供されているので、この辞書を利用すれば、最も効率的に導入できます。
一般部門(営業、生産、スタッフ部門)であっても、標準辞書が提供されていないだけで、iCDの考え方は共通です。
仕事(タスク)と知識(スキル)の達成レベルを、時系列計数データとして見える化することは、
組織としての基本的な仕事の仕組みであり、健全な組織機能の形だと考えます。
「活用しない手はありません」

2.活動、働き方、人の価値観の変化対応

仕組み(iCD)を導入した後、企業を取り巻く世の中の環境、人の価値観、ITの技術進歩の変化により、
設計要件通りの機能提供を普遍的に享受できるという保証はありません。
特に、昨今は過去とは比較にならないITの急速な進化、想定しなかった新型コロナウィルスの感染拡大等、
例えばこのような状況下で、働き方の急激な変化が起きるのは当たり前の現象です。
そしてこの現象は、以前の活動形態に戻ることはないとも言われています。

このような事態が起きると、自社として、自部署として、個人として、変わらざるをえないこと、意思を込めて変えること、
絶対に変えてはならないこと、仕事の内容、その仕方、それを踏まえて働く人のキャリアパス、
成果の把握等の要求モデルを再考する必要があります。
組織と個人、現在の立ち位置を踏まえ進むべき道を明確にする、この議論していく時にこそ海図(*2)が必要、
つまり全体を俯瞰している情報を使う事が重要だと考えます。

iCD導入時の作成ドキュメント「要求定義」やToBeタスクを明示した「タスク定義」、
利活用のために見える化した「キャリアフレームワーク」が、海図の役割を果たしてくれるはずです。
iCDの成果物を前提にしない議論は、対応策の正当性を歪めるリスクがあると考えます。
「活用しない手はありません」

(*2)海図
航海のために必要な水路の状況、すなわち水深、底質、海岸地形、海底危険物、航路標識などが、
正確に見やすく表現されている。一定規模以上の船舶には、備え付けることが義務づけられている。
安全に目的地に進むための情報として、陸上地図にはない多くのデータが記載されている。

~その2につづく。