●『スキル標準の企業導入時のハードルとは? 〜その1』

        (株)スキルスタンダード研究所 代表取締役社長 高橋 秀典

iCD、ITSS、UISSなどスキル標準の企業導入は、その検討のきっかけやステークホルダーが誰かによって、様々なハードルが出現します。
それらは、途中で検討をあきらめなければならないほど、導入推進者にとっては大きなインパクトがあります。
今回から3回連載で、そのパターンを明らかにし、具体的な対応策を探ってみます。

【検討スタートのきっかけによる違い】
 
どのような形で検討がスタートするかによって、導入推進者の動きが変わってきます。
まず、検討スタートのきっかけを列挙してみましょう。

(1)経営者、経営層、責任者などが、人材育成の仕組みづくりのために、スキル標準の導入を指示した場合

(2)経営者、経営層、責任者などが、スキル標準については明言せず、人材育成に力を入れるという方針を出している場合

(3)人材育成担当に、現場サイドから現状の人材育成に対する改善要求の声が上がり、改善策の具体化に迫られた場合

(4)人材育成担当が、現場や顧客の状況から人材育成策強化の必要性を感じ、具体化しようとした場合

(1)については、トップダウンで導入作業を進めることができるわけですから、全社に対して統制が効くことになり、導入推進者にとっては大変動きやすい状況が生まれます。
この場合は、こまめに報告することや意見を伺うなど、経営層や責任者とコミュニケーションを密にすることが重要です。
基本的に、そのことを怠らなければ、推進に差し障るような大きな問題は発生しないと考えられます。

(1)以外については、進め方によっては大きなインパクトを伴う障壁が出現する可能性があります。
次から一つひとつ見ていきましょう。

(2)経営者、経営層、責任者などが、スキル標準については明言せず、人材育成に力を入れるという方針を出している場合

この場合は、少なくとも人材育成の必要性や仕組みづくりを推進することは、シェアできていると考えられます。
推進者のやらねばならないことは、スキル標準を活用することの妥当性やメリットなどを、いかに理解してもらうかということです。
 
言うまでもありませんが、スキル標準の構造や使い方を分かってもらうのではなく、経営方針や事業計画、またそれを実現するための人材の育成に、どのくらいインパクトがあるかを理解させるということです。
 
スキル標準の場合は、IPAから事例集が出ていたり、スキル標準ユーザー協会の年末イベントなど多くの情報が用意されています。
また、IPA発行のIT人材白書なども、抜粋して活用すれば効果的です。

ただし、重要なのは資料をそのまま使うのではなく、あくまで参考として活用し、内容は推進者の意志の入ったものにしておくということです。
提案書を作成するのと同じです。
 
経営層や責任者の疑問に対して、自らの思いを語る必要があるからです。
他人が作ったものを説明するだけでは、気持ちが入るわけもありません。
経営に責任を持っている方々は、リーダーシップを持ってやり遂げてくれることを期待しているのです。
 
そのために、どう協力しようかと考えるのが普通です。
あらを探して案をつぶすようなことをする方は、経営層とはいえません。
推進者は、経営層の中に協力してくれる方を見つけることも、 1つのミッションかもしれません。

〜その2につづく