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認定コンサル コラム 第19話

今後求められるIT人材像とスキル標準

松浦 昌明(認定コンサルタント)

「道具」をつくる「人」が
「道具」を使い、使いこなす「人」の視点を持たなければ
良い「道具」にはならない

1.IT人材の特徴
ITは他の技術と異なり、その誕生から普及/浸透までの時間が極端に短く、現在も急速な進展を継続している。恐らく、未来の「IT人材像」を定めても、1?2年でその像を修正しなければならないであろう。このことが、ITを支える人材の育成を難しくしている要因でもある。
「IT人材像」を定める目的は、全従業員の個々の価値を企業として一つの方向に集約させる事にある。ITの進展速度を考えると、企業が作成した「IT人材像」が厳密に合っているか否かの議論は不毛であり、「IT人材像」を仮定してでも全従業員で共有することの方が大切と言える。

2.IT人材に求められるもの
ITが企業経営や事業推進に浸透するに従い、ITの価値(IT導入効果)の考え方も必然的に変化してきた。今やITは、ITシステム単体の価値や効果だけではなく、ITシステムが企業の実業領域の効果に寄与・貢献できていなければ意味がないのである。
 従来のIT人材の役割は、ユーザ要求のシステムを「どうやって作るか」であった。IT人材の視点はユーザ要求の仕様、品質、コストを守ることを最優先にシステム開発のプロフェッショナルとしてその価値を発揮していた。すなわち「システムの"内側の視点"」である。
しかし、IT化が当たり前の時代になると、実際に業務を実践しているエンドユーザが、何をシステム化すれば良いかを的確に考えることが、難しくなってきた。
ITが社会に氾濫し、あたかもITが万能にすら感じられてしまう昨今では、ITのプロフェッショナルではないエンドユーザには、ITの限界も可能性も分からなくなってきている。
従って、エンドユーザが、自社のシステム化要求が自社の実業にとって最適であるかどうかを評価することは、非常に難しいものと言える。
このような背景の中で、IT人材の役割は「どうやって作るか」だけではなく「どういうシステムをどう作るか」まで拡がってきている。すなわち「システムの"外側の視点"」が必要となってきている。
 "外側の視点"は、元来エンドユーザの領域であるため、エンドユーザとIT人材の協働が前提となる。このときに、エンドユーザと同じ観点とスキルではIT人材としての価値がないことに注目すべきである。エンドユーザとは異なる観点・視点でITを軸とした価値の発揮が今のIT人材に求められることになる。

 IT人材が意識しなければならないことは、従来の「システム」という概念だけではなく、システムが道具の一つに過ぎない「ソリューション」という概念である。
 IT黎明期のIT人材に求められていたのは"ITシステムをどう作るか"という価値であり、そのために必要なのはIT知識であった。今後求められるIT人材の価値は、"ITをどう使いこなすか"であり、そのために必要なものは、従来よりも複雑化し広範化したIT知識と『IT知識を最適に"使い"、"使いこなし"、"ITを軸に創造する" 』という知見とスキルである。

余談になるが、そもそもIT人材は、ITで仕事をする人であり、局面を変えればITで生活する人でもある。つまり、IT人材はITを提供する側のプロであると共にITを使う側のユーザであると言える。

3.IT人材の育成フレームワーク
ここで述べてきたIT人材について、育成フレームワークを考えると、ITSSをベースにUISSを部分的に参照することが考えられる。
このIT人材は、システム開発のプロフェッショナルとしてITに関する深い知見と具現化力をベースに、企業の経営や戦略を見据えた企業の実業領域の効果に寄与・貢献するITシステムを提供することが役割である。

経営やビジネスとITをどう融合するか
 「ビジネスITプロセス立案」「ITアセスメント」「IT戦略」は、「経営やビジネスとITをどう融合するか」という役割に必須の項目である。「ビジネスITプロセス立案」は、特に企業が新しいビジネスモデルを具現化する際に、プロセス検討の段階からITを軸とした知見を発揮するスキルで、ビジネスとITシステムの同時開発に欠かせないものである。
「ITアセスメント」「IT戦略」は、企業でのITが真に「経営資源」として位置づけられ、それにふさわしい役割を果たすために必要となる知見である。この範囲はIT部門のトップが担う部分であるが、ITベンダーにとってもパートナーとして認知されるためにはこの知見が求められる。

どういうITシステムを作るか
 「システムアーキテクト」「システム運用」「業務プロセス統制」「ITコーディネート」「最適IT投資/コスト」の項目は、「どういうITシステムを作るか」という役割に必要である。「システム運用」は、ITシステムが真の価値を創出するフェーズをエンドユーザとともにITを軸足とした視点で価値を発揮する役割である。「業務プロセス統制」は企業の"全体最適環境"を構築/維持する役割である。「ITコーディネート」は、エンドユーザが自分のビジネス価値を創出することに対し、ITの切り口で価値を提供する役割である。「最適IT投資/コスト」は、単にITシステムの導入コストの知見では無く、ITシステムを導入することによる対象ビジネスのROI向上(もしくはTCO削減)を含めた最適な検討を行える知見である。これらの範囲はIT部門の軸足であるが、ITベンダーにもその提案と支援が求められる。

どうやってITシステムを作るか
 ITの基礎知識を土台に、「プログラミング」「DB設計」「システム設計」「プロジェクトマネジメント」が従来のIT人材に求められていた範囲で、「どうやってITシステムを作るか」という役割に必要不可欠な項目といえる。これらの範囲はIT子会社およびITベンダーにとっての軸足である。

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